OKIが高齢者見守りソリューション「WatchOverSmart」の導入実績を発表しました。親愛カトレア館への新規導入を含め、2024年度の販売開始から1年足らずで55施設・約1000床という規模に達しています。ベッド上の体動変化から離床の予兆を検知し、スタッフへリアルタイム通知する仕組みが、介護現場の負担軽減と安全性向上の両立を狙います。

参考: 「親愛カトレア館」に見守りソリューション「WatchOverSmart」を導入(OKI)

分析・見解

1000床という数字が示すのは、介護現場における「予兆検知」への切実なニーズです。従来の見守りカメラやナースコールは、転倒や転落が起きた「後」の対応に焦点を当てていましたが、WatchOverSmartは体動パターンの微細な変化を捉えて離床の「前」に介入できる点で一線を画します。

市場には既にパラマウントベッドの「眠りSCAN」やフランスベッドの見守りシステムなど競合製品が存在しますが、OKIの強みは通信インフラ企業としてのデータ処理基盤にあります。複数施設のデータを集約分析することで、将来的には施設横断での転倒リスクモデルの構築や、個人の生活リズム変化からの体調予測も視野に入ります。

55施設という数は、介護業界全体から見ればまだ氷山の一角です。しかし2024年度の介護報酬改定で「科学的介護情報システムLIFE」へのデータ提出が加算要件となり、センサーデータの活用が経営戦略上の必須事項になりつつあります。WatchOverSmartのような製品が今後、単なる「見守り」から「データ駆動型ケアプラン」の基盤へと進化する可能性は高いでしょう。親愛カトレア館のような先行導入施設が、どのようなデータ活用事例を生み出すかが業界全体の分岐点になります。

[PR]

ビジネスへの影響

介護施設運営者にとって重要なのは、夜勤帯の巡回頻度を最適化できる点です。厚生労働省の調査では、介護職員の約4割が夜勤時の心理的負担を訴えており、過度な巡回は職員疲弊の一因でした。予兆検知により「必要な時だけ駆けつける」運用が可能になれば、限られた人員を他の業務に振り向けられます。

導入コストについては、一般的なセンサー型見守りシステムは1床あたり月額3000〜5000円が相場です。30床規模の施設で月9〜15万円の支出ですが、夜勤職員1名の時給1500円×8時間×30日=36万円と比較すれば、人員配置の柔軟性向上による間接効果は大きいと言えます。ただし効果を最大化するには、アラート基準の施設ごとのチューニングと、スタッフへの運用トレーニングが不可欠です。競合製品との比較検討では、既存の介護記録システムとのデータ連携可否が選定の決め手になるでしょう。

関連記事